「海外旅行実務」の英語問題を見た瞬間、「これは難しそうだな」と感じた経験はありませんか?
長文がずらっと並び、知らない単語も出てくる。時間内に読み切れないし、問題を見ても正解がわからない――。
そんな苦手意識を持つ受験生は、決して少なくありません。
でも、ここでひとつ知っておいてほしい事実があります。
それは、試験に登場する英文の多くが、実在する有名観光地やホテルなどの「本物の情報」を参考にして作られているということです。
英文の一部は架空の文章ではなく、現地で実際に案内されている注意事項や規約などがベースとなっています。
つまり、背景となる「現地のリアルな仕組み」を知っておくことで、英文の理解度や読むスピードを高められる可能性があります。
この記事では、総合旅行業務取扱管理者試験の英語問題における実際の英文の使われ方や、過去5年分の英文の「元ネタ」と考えられる情報を紹介します。
さらに、そこから見えてくる英語問題の2つの頻出パターンと、効率的な読み方・解き方についても解説します。
第1章:試験問題と「リアル」の境界線!何が架空で何が本当?
試験問題の表紙をよく見ると、次のような注意書きがあります。
「一部試験用に設定された箇所があります」
このひとことは、英文を読むうえで重要なヒントになります。
つまり、英文のすべてが完全に実在する情報というわけではなく、実在する情報をベースにしながら、試験問題として成立するように一部が調整されていると考えられます。
【本当(リアル)】現地の情報
過去の問題には、例えば次のような情報が登場しています。
- シドニー・オペラハウスの見学ツアーでは、300段以上の階段を上り下りする必要がある
- ハナウマ湾では、入園前にビデオ視聴が義務付けられている
- ホテルにペットを同伴する場合、清掃費などの追加費用が発生する
こうした細かい数字や条件は、試験のために一から作られたものではなく、現地の公式サイトなどに掲載されている実際の情報を参考にしていると考えられます。
【試験用】問題を成立させるための設定
一方で、試験問題として成立させるために、次のような設定が加えられることもあります。
- カレンダー問題を作るための特定の日付の除外
- 問い合わせ先として設定された電話番号
- 試験問題の条件に合わせて調整された料金や人数、日付など
このような部分は、実在する施設の情報そのものではなく、出題のために設定された可能性があります。
したがって、過去問を学習するときには、
「これは実際の施設の情報なのか、それとも試験問題として設定された条件なのか」
という視点を持っておくと、英文の内容をより理解しやすくなります。
もちろん英語の問題ですから、回答するためには一定の英語力が必要です。
しかし、実際の観光施設やホテルなどで使われている英文・規約が参考になっていることを知り、そのような文章に慣れておけば、問題に取り組む際の大きな武器になるでしょう。
第2章:過去5年分(全10英文)の「元ネタ」と考えられる情報
それでは実際に、過去5年間で出題された英文が、どのような実在スポットや規約を参考にしていると考えられるのかを見ていきましょう。
ここで紹介する「元ネタ」は、筆者が過去問の英文と現在のウェブサイト情報を照らし合わせて調査したものです。
そのため、試験問題の作成者が特定のページを直接参考にしたことを公式に確認したものではありません。あくまで筆者による調査・比較に基づく推測です。
また、掲載しているリンク先は現在の案内ページであり、試験問題が出題された当時の情報とは、数値や料金、規定などが一部異なる場合があります。
2025年度
【第5問】シドニー・オペラハウス見学ツアー
概要
- 300段以上の階段
- ベビーカーの持ち込みに関する制限
- ツアー参加時の注意事項
参考:Sydney Opera House Official Site(Tour案内ページ)
公式ページには、「300 stairs」や、ベビーカーを預け入れることに関する記載が確認できます。
試験問題では、こうした実際の施設案内を参考にしたと考えられる情報が出題されています。
【第6問】英国ホテルの宿泊約款(ペットポリシー)
概要
- ペットの重量制限
- 重量制限を超える場合の清掃費
- 支配人の裁量による受け入れ可否
参考:The Marylebone Hotel(The Doyle Collection, London)Pet Policy
試験問題では数値や金額が調整されていますが、「重量制限」「支配人の裁量」「清掃費の発生」という規定の骨格は、英国の高級ホテルなどで見られるペット同伴規定と共通する内容です。
2024年度
【第5問】バッキンガム宮殿の夏の一般公開
概要
- 15分刻みの時間枠
- 事前予約
- 当日購入との料金の違い
実際の観光施設の入場システムを題材にした英文として読むことができます。
【第6問】ミルフォード・サウンド・クルーズ
概要
- 雨具や重ね着に関するアドバイス
- 天候への備え
- 野生動物の観察
参考:RealNZ
クルーズツアーの実際の案内に近い内容が出題されています。
2023年度
【第5問】ハナウマ湾自然保護区の入園規制
概要
- 2日前からの予約
- 入場前の教育ビデオ視聴
- 駐車場の支払い方法
参考:City and County of Honolulu – Hanauma Bay Nature Preserve
公式ページでは、「2日前からの予約」や「入場前の教育ビデオ視聴が必要」といった内容が確認できます。
ハナウマ湾のように、観光地そのものの説明だけでなく、予約方法や入場時のルールが英文問題の題材になることがあります。
【第6問】ナイアガラの滝ボートツアー
概要
- 当日券とオンライン購入の違い
- 団体割引
- 無料(Complimentary)となる条件
観光施設のチケット販売や団体料金に関する情報が英文の題材になっています。
2022年度
【第5問】「ABC Stadium」ボールパークツアー
概要
- メジャーリーグのスタジアムを舞台にした見学ツアー
- スタジアムの裏側の見学
- 持ち込み制限
参考:Angel Stadium Ballpark Tours(MLB公式)
実在するスタジアムツアーには、ダグアウトやロッカールームなどを見学する内容があります。
試験問題では施設名などが変更されていますが、実在するスタジアムツアーをイメージすると英文の内容を理解しやすくなります。
2022年度【第6問】クルーズ会社の約款
概要
- 15%のデポジット
- 段階的に設定されたキャンセル料
- 予約変更やキャンセルに関する条件
参考:MSCクルーズ 約款
クルーズ旅行では、予約時のデポジットや出発日までの日数に応じて変化するキャンセル料など、細かな条件が設定されています。
このような「数字+条件」の組み合わせは、英語問題でも重要なポイントになります。
2021年度
【第5問】中世シアターレストランの予約案内
概要
- ロンドンに実在した「The Medieval Banquet」の個人・団体規約
- 予約条件
- キャンセルなどに関する規定
参考:The Medieval Banquet(アーカイブ)
なお、モデルとなった「The Medieval Banquet」は現在営業を終了しています。
そのため、現在利用できる施設情報ではなく、過去の事例・アーカイブとして参考にしてください。
【第6問】ホテルの団体予約取引条件書(B2B)
概要
- 旅行会社とホテルとの取引条件
- 団体予約に関する規定
- キャンセルなどの契約条件
ホテルと旅行会社などの間で交わされる団体予約の取引条件をイメージすると、英文の内容を理解しやすくなります。
10英文を並べてみると見えてくること
こうして過去5年分の英文を並べてみると、毎年まったく違う文章が出題されているように見えて、実は似たジャンルが繰り返し登場していることがわかります。
例えば、
- 観光施設の案内
- ツアーの参加条件
- ホテルの宿泊規約
- クルーズの約款
- 団体予約の取引条件
- チケットや料金に関する案内
といったテーマです。
ここから、英文問題には大きく2つのパターンがあることが見えてきます。
第3章:英文を2つに分類せよ!「施設案内型」と「契約約款型」の読み方・解き方
英文を見た瞬間、1行目から最後まできちんと和訳しようとしていませんか?
もちろん英文を正確に読めることは大切です。
しかし、試験本番では、すべての英文を一文ずつ丁寧に日本語へ訳していると、時間が足りなくなる可能性があります。
そこで重要になるのが、必要な情報を文章の中から探し出す「スキャン力」です。
先ほどの10英文をよく見ると、大きく次の2つのパターンに分類できます。
①「施設案内型」
シドニー・オペラハウス、ハナウマ湾、バッキンガム宮殿、スタジアムツアーなどが該当します。
特徴
観光客向けの案内文が中心です。
主な内容は、
- ツアーの魅力
- 料金
- 予約方法
- 利用時間
- 注意事項
- 持ち込み制限
などです。
狙われやすいポイント
特に注意したいのが、禁止事項や許可に関する記述です。
例えば、
- prohibited
- not allowed
- permitted
- allowed
- required
といった単語が出てきたら、重要な情報が続く可能性があります。
「ベビーカーは入れるのか?」
「ビデオ撮影はできるのか?」
「バッグを持ち込めるのか?」
といった条件は、設問にもなりやすいポイントです。
読み方・解き方
施設案内型の英文では、最初から最後まで同じ密度で読む必要はありません。
まず設問を確認し、何を探せばよいのかを把握してから本文を読む方法が有効です。
また、箇条書き(bullet points)や、後半にある「What to know before you go」のような注意事項のブロックにも注目しましょう。
設問の答えが、こうした注意事項の中にそのまま書かれていることもあります。
②「契約約款型」
ホテルの宿泊・ペット規定、クルーズの条件書、B2Bの団体契約書などが該当します。
特徴
こちらは観光案内というより、ビジネス文書や契約条件に近い英文です。
テーマの中心となるのは、
- お金
- 日程
- 人数
- キャンセル
- デポジット
- 追加料金
- ペナルティ
などです。
狙われやすいポイント
契約約款型で特に重要なのが、数字と条件の組み合わせです。
例えば、
- 何日前までならキャンセル無料なのか
- デポジットはいくらなのか
- キャンセル料は何%なのか
- 団体とみなされる最小人数は何人なのか
- 追加料金はいくらなのか
といった情報です。
数字だけを見るのではなく、
「いつ・誰が・どの条件で・いくら支払うのか」
という形で整理すると、内容を把握しやすくなります。
読み方・解き方
契約約款型では、設問に登場するキーワードを手がかりにして本文から必要な情報を探しましょう。
例えば、
- Group Policy
- Pet Policy
- Cancellation
- Deposit
- Fee
などのキーワードです。
最初から全文を完璧に和訳するのではなく、設問で聞かれている情報を本文から探すことを意識すると、時間を節約できます。
まとめ:英語問題は「全部読む」より「必要な情報を探す」
総合旅行業務取扱管理者試験の海外旅行実務では、英文を見ただけで「難しい」と感じてしまうかもしれません。
しかし、過去の問題を調べてみると、実在する観光施設やホテル、クルーズ会社などの情報を参考にしたと考えられる英文が多く出題されています。
そして、その内容には一定のパターンがあります。
大きく分けると、
①施設案内型
②契約約款型
の2つです。
施設案内型では、禁止事項・許可事項・料金・予約方法などに注目します。
一方、契約約款型では、キャンセル条件・デポジット・追加料金・人数など、数字と条件の組み合わせに注目します。
英文を一文ずつ日本語に訳すことだけが、英語問題の攻略法ではありません。
本番では、まず設問を確認し、
「この問題では何を探せばいいのか?」
を考えてみてください。
そして、本文の中から必要な情報を探し出す。
この「スキャンする」という読み方に慣れておけば、長い英文を前にしても、必要以上に焦らず問題に取り組めるようになるはずです。
過去問を解くときも、単に正解・不正解を確認するだけではなく、
「この英文は施設案内型なのか、契約約款型なのか」
という視点で分析してみることをおすすめします。
それが、海外旅行実務の英語問題で得点を伸ばすための一つのポイントになるでしょう。
