航空運賃計算を勉強していると、MPMやTPMの計算までは理解できても、その後に出てくる HIP(Higher Intermediate Point) で混乱する人は少なくありません。
「マイル計算が終わったなら、それで運賃も決まるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、実際はそうではありません。
航空運賃計算では、マイル計算が終わったあとに「最高運賃チェック(HIP)」を行うという重要なルールがあります。
このHIPを理解していないと、
- 試験問題のひっかけに引っかかる
- 運賃計算の流れが整理できない
- なぜ運賃が上がるのか理解できない
といった状態になりやすいです。
特にHIPは、「どの経由地を見るのか」「いつチェックするのか」が曖昧なままだと混乱しやすい分野です。
この記事では、その流れを具体例と一緒に整理していきます。
目次
HIP(最高運賃チェック)とは?
HIPとは、Higher Intermediate Point の略です。
HIPのルール
「出発地から目的地までの運賃よりも、出発地から経由地までの運賃の方が高い場合、出発地から経由地までの運賃を適用しなければならない」
ここでいう Intermediate Point は「経由地(途中地点)」を意味し、その中でもより高い運賃になる地点をチェックするのがHIPです。
たとえば、「東京 → バンコク → クアラルンプール」のように、クアラルンプールが目的地であるが、途中でバンコクを経由する旅程を考えます。
| 区間 | 運賃 |
|---|---|
| 東京 → クアラルンプール | 63,000円 |
| 東京 → バンコク | 76,500円 |
この例では、経由地のバンコクまでの方が運賃が高くなっています。
もしHIPがなければ、
「バンコクまで行きたい人が、バンコク行きの航空券ではなく、より安いバンコク経由クアラルンプール行きの航空券を買い、途中のバンコクで降りる」
という不自然な買い方・乗り方をしてしまうかもしれません。
こうした運賃の逆転現象を防ぐためのルールがHIPです。
航空運賃計算の順序|なぜマイル計算の後なのか?
ここは試験で注意が必要な点です。試験では、次の順番で整理すると理解しやすくなります。
運賃計算の基本的な流れ
- 旅程確認(出発地・経由地・目的地の確認)
- 運賃の選定
- マイル計算(TPM / MPM / EMS)
- HIPチェック
この順番が重要です。HIPがルート成立後の金額チェックであることを意識できると整理しやすくなります。
| チェック | 役割 |
|---|---|
| MPM | 距離のチェック |
| HIP | 金額のチェック |
まず「飛ぶルートとその運賃(割り増しの有無・割合)」を確認し、そのあと「より高い経由地がないか」を確認する流れです。
【重要】ストップオーバーとトランスファーの違い
HIPでは経由地の運賃を確認していきますが、必ずすべての経由地と比較するわけではありません。
HIPの対象になるのは「ストップオーバー」のみです。「トランスファー」は対象外になります。また、新しい用語が登場しましたが1つずつ見ていきましょう。
ストップオーバー(Stopover)
ストップオーバーとは、ある経由地に24時間以上滞在することです。試験対策上は「24時間滞在する経由地」と認識しても問題ありません。
試験では 「○」 で表されることが多く、この地点はHIPの対象になります。
つまり、HIPの対象となる丸のついた経由地がある場合は、その地点までの運賃を確認して旅程全体の運賃と比較する必要があります。
トランスファー(Transfer)
トランスファーとは、24時間未満で次の便に乗り継ぐことです。問題を解く上では「24時間以上滞在しない経由地」として整理することも可能です。
試験では 「✕」 で表されることが多く、この地点はHIPの対象外です。
HIPの対象外のため、たとえその地点までの運賃が高かったとしても比較は不要です。むしろ比較してはいけません。
⚠️ ストップオーバーとトランスファーの違いは試験でよく出題されます。それぞれの意味を理解した上で、○か✕かを見るクセをつけることが大切です。
【具体例】HIPをパターン別に理解する
次にHIPについて、実際の試験に近い形で見ていきましょう。
①HIPが発生するケース
旅程: 東京(TYO)→ バンコク(BKK:○)→ クアラルンプール(KUL)
| 区間 | 運賃 |
|---|---|
| TYO-KUL(目的地) | 63,000円 |
| TYO-BKK(経由地 ○) | 76,500円 |
経由地の方が高いためHIPが発生します。
適用運賃:76,500円
②HIPが発生しないケース
旅程: 東京(TYO)→ ソウル(SEL:○)→ ロサンゼルス(LAX)
| 区間 | 運賃 |
|---|---|
| TYO-LAX(目的地) | 97,500円 |
| TYO-SEL(経由地 ○) | 33,000円 |
目的地の方が高いためHIPは発生しません。
適用運賃:97,500円
③トランスファーなので無視するケース
旅程: 東京(TYO)→ 香港(HKG:✕)→ シンガポール(SIN)
| 区間 | 運賃 |
|---|---|
| TYO-SIN(目的地) | 60,000円 |
| TYO-HKG(経由地 ✕) | 72,000円(HIP対象外) |
香港の方が高いですが、トランスファー(✕)なのでHIP対象外です。比較しません。
適用運賃:60,000円
🚨 試験のひっかけ注意
ここは試験で非常によく出るひっかけです。運賃が高くても「✕(トランスファー)」ならHIPの対象にはなりません。
④複数ストップオーバーがあるケース
旅程: 東京(TYO)→ バンコク(BKK:○)→ ドバイ(DXB:○)→ ロンドン(LON)
| 地点 | 運賃 |
|---|---|
| TYO-LON(目的地) | 105,000円 |
| TYO-BKK(経由地 ○) | 76,500円 |
| TYO-DXB(経由地 ○) | 117,000円 ← 最高額 |
最も高いのはドバイです。この場合、ドバイ基準でHIPが発生します。
適用運賃:117,000円
複数ストップオーバーがある場合は、すべて確認しましょう。
試験対策:運賃計算欄ではどう書かれる?
「高い方を適用する」と理解したら、次に押さえたいのが運賃計算欄です。
試験では、そのまま高い運賃を書くのではなく、
差額(PLUS UP) として表されることがあります。
例:
これは、
- 元の運賃
- 差額
を足して、高い方の運賃に調整したことを示しています。
📌 整理のポイント
HIPに該当した場合は高い方を適用するという理解でいいのですが、運賃計算欄などでは差額を足す形で表記されることもあるので注意が必要です。
まとめ
HIPは一見難しく見えますが、しっかり整理できればそこまで複雑な論点ではありません。
- MPMは距離チェック
- HIPは金額チェック
- 順番は「マイル計算 → HIP」
- HIPの対象はストップオーバー(○)のみ
- トランスファー(✕)はHIP対象外
- 運賃の高い経由地があればその運賃を適用する
この流れを理解すれば、HIPは得点源にできます。具体例や過去問を繰り返し確認しながら整理していきましょう。
