目次
CTMとは
CTM(Circle Trip Minimum)とは、周回旅行に適用される最低運賃ルールです。
航空運賃計算では、旅程に沿って各区間の運賃を積み上げていきます。
しかし、周回旅行では経由地が増えることに伴い、普通に計算した結果(合算額)が、ある経由地への単純な往復旅行よりも安くなってしまう逆転現象が起きることがあります。
そのため、
「周回旅行の合計運賃が、出発地から経由地までの最高往復運賃(最低基準額)より安くなっていないか」を最後に確認する
というルールが設けられています。
つまりCTMは、新しく運賃を計算するルールではなく、計算した運賃が安すぎないかを確認するための「最終チェック機能」と考えると理解しやすいでしょう。
周回旅行とは
周回旅行とは、出発地から複数の都市を経由し、最終的に出発地へ戻る旅程をいいます。
例えば、
- 東京 → ロンドン → パリ → 東京
のような旅程が代表例です。
このような旅程では、通常の運賃計算を行ったあと、最後にCTMを確認します。
周回旅行でも基本は「往復運賃の1/2」
CTMを理解する前に、まず周回旅行の基本的な運賃の組み立て方を確認しておきましょう。
総合旅行業務取扱管理者試験では、区間ごとの往復運賃(RT:Round Trip Fare)が資料として与えられます。
そして基本的には、それぞれの区間について往復運賃の2分の1(1/2)を用いて運賃を組み立てます。
【例】
- 東京 ⇄ ロンドン(RT)= 400,000円
- ロンドン ⇄ パリ(RT)= 100,000円
- パリ ⇄ 東京(RT)= 300,000円
【各区間の計算】
- 東京 → ロンドン:200,000円(400,000円の1/2)
- ロンドン → パリ:50,000円(100,000円の1/2)
- パリ → 東京:150,000円(300,000円の1/2)
試験では、往復運賃が示されている場合は、基本的にその半額を各区間の運賃として扱います。
CTMでは、このように組み立てた運賃が最低基準を下回っていないかを確認します。
CTMでは何を比較するのか
CTMでは、次の2つを比較します。
- 各区間の1/2往復運賃を合計した、周回旅行の運賃(HIPやマイル超過も計算済みのもの)
- 出発地から、旅程中の経由地への往復運賃
もし1(周回旅行運賃)が2(最低基準額)より安ければ、運賃を2まで引き上げます。
反対に、1(周回旅行運賃)が2(最低基準額)以上であれば、そのままの運賃を採用します。
⚠️超重要:トランスファー(乗り継ぎ)は対象外!
CTMの最低基準額(上記2)を探す際、出発地から比較する対象は「ストップオーバー(24時間以上の滞在)した経由地」のみです。
HIPのルールと同様に、単なるトランスファー(24時間未満の乗り継ぎ地点)への往復運賃は比較対象外となります。試験で引っ掛けとして出題されやすいポイントなので、必ず覚えておきましょう。
CTMの具体例
実際の試験でよくある、「①CTMが適用されずそのままの運賃になるパターン」と、「②CTMが適用されて運賃が高くなるパターン」の2つを見てみましょう。
(※CTMを理解するため、HIPやマイル超過加算はないものとします)
パターン1:CTMが適用されない例(同額または周回旅行運賃の方が高い)
旅程: 東京 → ロンドン → パリ → 東京(すべてストップオーバー)
| 区間 | 往復運賃(RT) | 計算に使う運賃(1/2 RT) |
|---|---|---|
| 東京 ⇄ ロンドン | 400,000円 | 200,000円 |
| ロンドン ⇄ パリ | 100,000円 | 50,000円 |
| パリ ⇄ 東京 | 300,000円 | 150,000円 |
【ステップ1】各区間の1/2運賃を合計する
- 200,000円 + 50,000円 + 150,000円 = 400,000円
👉 周回旅行の計算運賃 = 400,000円
【ステップ2】CTMの基準額(出発地からの最高往復運賃)を確認する
出発地(東京)から、各滞在都市への往復運賃を比べます。
- 東京 ⇄ ロンドン:400,000円 🌟最高額
- 東京 ⇄ パリ:300,000円
👉 CTM最低基準額 = 400,000円
【ステップ3】比較する
- 周回旅行の計算運賃(400,000円) ≧ CTM最低基準額(400,000円)
👉 同額のためCTMは適用されず、運賃は400,000円のままとなります。
パターン2:CTMが適用されて運賃が高くなる例
旅程: 東京 → シドニー → オークランド → 東京(すべてストップオーバー)
| 区間 | 往復運賃(RT) | 計算に使う運賃(1/2 RT) |
|---|---|---|
| 東京 ⇄ シドニー | 300,000円 | 150,000円 |
| シドニー ⇄ オークランド | 60,000円 | 30,000円 |
| オークランド ⇄ 東京 | 200,000円 | 100,000円 |
【ステップ1】各区間の1/2運賃を合計する
- 150,000円 + 30,000円 + 100,000円 = 280,000円
👉 周回旅行の計算運賃 = 280,000円
【ステップ2】CTMの基準額を確認する
出発地(東京)から、各滞在都市への往復運賃を比べます。
- 東京 ⇄ シドニー:300,000円 🌟最高額
- 東京 ⇄ オークランド:200,000円
👉 CTM最低基準額 = 300,000円
【ステップ3】比較する
- 周回旅行の計算運賃(280,000円) < CTM最低基準額(300,000円)
👉 周回旅行の運賃(280,000円)のほうが安くなっています。これは「シドニーへ単純に往復するより、オークランドに寄り道したほうが安くなる」という状態です。
そのため、CTMのルールを適用し、最低基準額である300,000円まで運賃を引き上げます。
CTMを確認する順番
試験では、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- 各区間の往復運賃を確認する
- 往復運賃の1/2を各区間の運賃とする
- HIPを確認する(必要があれば修正)※トランスファーの経由地は比較対象外
- マイル超過加算(EMS)があれば反映する
- 合計運賃を求める
- 最後にCTMを確認する(高くなる場合がある)※トランスファーの経由地は比較対象外
CTMは、すべての運賃計算が終わったあとに行う最終チェックです。この順番を覚えておくと、試験でも落ち着いて計算を進められます。
HIPとの比較
HIPとCTMは、どちらも運賃が安すぎないか確認するルールですが、役割や対象が異なります。一方で、トランスファーを対象としない点は共通です。
| 項目 | HIP | CTM |
|---|---|---|
| 確認する対象 | 各区間(部分) | 周回旅行全体(トータル) |
| 確認する内容 | 経由地の方が高い運賃にならないか | 旅程全体の運賃が最低基準額(最高往復運賃)を下回らないか |
| 確認するタイミング | 区間ごとの計算時 | 一番最後 |
| トランスファーの扱い | 対象外(乗り継ぎ地は無視) | 対象外(乗り継ぎ地は無視) |
試験では、「HIP確認後、さらにCTM確認」という流れを押さえておきましょう。
試験で押さえたいポイント
CTMに関する問題を正解できると航空運賃分野での高得点に近づきます。次の点を理解しておきましょう。
- CTMは周回旅行(Circle Trip)で適用される。
- 各区間の往復運賃は基本的に1/2して使用する。
- HIPやマイル超過加算などをすべて反映したあと、最後にCTMを確認する。
- 周回旅行の運賃が「出発地からの経由地までの最高往復運賃」を下回る場合は、その額まで引き上げる。
- トランスファー(24時間未満の乗り継ぎ)となる経由地への往復運賃は、CTMの比較対象に含めない。
「どの場面で使うルールなのか」を把握した上で「確認する順番」や「引っ掛けのパターン」を理解することが重要です。
まとめ
CTM(Circle Trip Minimum)は、周回旅行で適用される運賃確認のルールです。
新たに運賃を計算するのではなく、ここまで計算してきた運賃が適切かどうかを確認する「最後のチェック」という位置付けで理解すると整理しやすくなります。
試験では、次の流れを意識しましょう。
- 各区間の往復運賃の1/2でベースを求める
- HIPやマイル超過加算を反映する
- ストップオーバーの経由地だけを対象に、最高往復運賃を確認する
- 最後にCTMの引き上げチェックを行う
CTMは航空運賃計算の最後に登場するルールです。計算の流れを一つずつ確認しながら進めれば、十分得点源にできる論点です。
次回は、航空機を利用しない区間をどのように扱うのかという「地上運送区間」について解説します。
