総合旅行業務取扱管理者試験の「海外旅行実務」において、多くの受験生が最初の壁としてぶつかるのが国際航空運賃の計算です。
特に、
- TPMって何?
- TTPMって、TPMと何が違うの?
- MPMって何?
- EMSって何のためにあるの?
このあたりで混乱する方が少なくありません。
アルファベットが多く、一見すると難しそうに見えますが、実はマイル計算には基本となるルールがあります。
そのルールさえ理解してしまえば、一定の手順で問題を解くことができるようになります。
この記事では、
- TPM・TTPM・MPMの違いと関係性
- なぜEMS(割増)が必要なのか
- マイル計算で覚えるべき3つのルール
- 実践問題での解き方
を初心者向けにわかりやすく解説します。
目次
そもそもTPM、TTPM、MPMとは?
マイル計算を理解するには、まず登場する3つの「マイル(距離)」の意味を整理することが大切です。
① TPM(Ticketed Point Mileage)= 各区間の運賃計算用距離
TPMとは、「運賃計算用のマイル(距離)」のことです。
試験では、各区間ごとにあらかじめ定められている運賃計算用の距離として数字で示されます。
たとえば、
- 東京 → マニラ = 1,865マイル
- マニラ → シンガポール = 1,488マイル
このように、区間ごとに数値が決まっています。
試験では、このTPMの数値が資料で与えられるので適切に読み取っていく必要があります。
② TTPM(Total Ticketed Point Mileage)= 行程のTPMの合計
TTPMとは、「運賃計算用のマイル(距離)の合計」のことです。
頭に「T(Total)」がついている通り、今回の行程で移動するすべてのTPMを合計した数値を指します。
今回の例で言えば、
試験では、資料に記載されたTPMをそのまま拾って足し算すればよいケースがほとんどです。
③ MPM(Maximum Permitted Mileage)= 許される最大距離
MPMとは、「最大許容マイル(距離)」のことです。
これは出発地から目的地まで、「この距離までは遠回りしても認められますよ」というルール上の上限値です。
つまり、
- TTPM = TPMの合計
- MPM = 許される上限距離
という関係になります。
3つのマイルの違いと役割を整理しよう
3つの言葉の関係性を一言でまとめると、こうなります。
「TPM」を足したものが「TTPM」で、計算した「TTPM」を「MPM」と比べる。
| 項目 | TPM | TTPM | MPM |
|---|---|---|---|
| 意味 | 1区間ごとの運賃計算用距離 | 行程のTPMの合計 | 許容される最大距離 |
| 役割 | 足し算のパーツ | 合計された数値 | 比較の基準 |
| 使うタイミング | 最初 | 途中 | 最後 |
私自身も勉強していたとき、最初はこの違いでかなり混乱しました。
ですが、「パーツがTPM、合計がTTPM、上限がMPM」と整理してから一気に理解しやすくなりました。
なぜEMS(割増)という仕組みがあるの?
ここで新しく出てくるのが、EMS(Excess Mileage Surcharge:超過マイル割増)です。
なぜこの仕組みがあるのでしょうか?
航空運賃には「ある程度までの遠回り」は認めるが、一定の範囲を超えてしまうと、その超過分に応じて運賃を調整(増額)するというルールがあります。
つまり、「上限(MPM)を超えた分だけ、段階的に運賃を割り増す」ということ。これがEMSです。
まずはこれだけ!マイル計算3つのルール
試験でまず必要となるのは、基本となる3つのルールです。
ルール① TTPMがMPM以下なら割増なし
各区間のTPMを合計したTTPMが、目的地のMPM以下なら問題ありません。この場合、割増は発生せず、基本運賃がそのまま適用となります。
ルール② TTPMがMPMを超えたら割増運賃が発生する
TTPMがMPMを1マイルでも超えると割増運賃が発生します。このとき、超えた割合に応じて基本運賃が段階的に割増されます。割増率は 5%、10%、15%、20%、25%のいずれかです。
ルール③ 原則端数切上、一致なら割増率をそのまま適用
試験では、TTPMをMPMで割ると1.06や1.15など、1より少し大きい数字になります。例えば、1.06なら10%(切り上げて1.10)、1.15ならそのまま15%の割増率を適用します。
EMS(割増率)の判定表
EMSは以下の表で判断します。この表はとても重要なので確実に覚えましょう。
| 倍率(TTPM ÷ MPM) | 割増率(EMS) | 運賃倍率 |
|---|---|---|
| 100%以下 | なし | × 1.00 |
| 100%超 〜 105%以下 | 5%割増 | × 1.05 |
| 105%超 〜 110%以下 | 10%割増 | × 1.10 |
| 110%超 〜 115%以下 | 15%割増 | × 1.15 |
| 115%超 〜 120%以下 | 20%割増 | × 1.20 |
| 120%超 〜 125%以下 | 25%割増 | × 1.25 |
実践問題で確認してみよう
問題1
以下の条件で適用される運賃を求めなさい。
- 旅程: 東京(TYO)→ マニラ(MNL)→ シンガポール(SIN)
- 基本運賃: 100,000円
- MPM(TYO-SIN): 3,974マイル
【各区間のTPM】
- TYO-MNL:1,865マイル
- MNL-SIN:1,488マイル
問題1の解き方
ステップ1:TTPMを求める
まずはTPMを合計します。
ステップ2:MPMと比較する
- TTPM:3,353
- MPM:3,974
比較すると、3,353 ≦ 3,974 なのでMPM以内です。
ステップ3:運賃を決める
MPM以内なのでEMSは発生しません。
したがって、適用運賃 = 100,000円 となります。
正解:100,000円
問題2
以下の条件で適用される運賃を求めなさい。
- 旅程:東京(TYO) ➔ サンフランシスコ(SFO) ➔ ロサンゼルス(LAX)
- 基本運賃: 150,000円
- MPM(TYO-LAX): 6,548マイル
【各区間のTPM】
- TYO-SFO:5,124マイル
- SFO-LAX:1,795マイル
問題2の解き方
ステップ1:TTPMを求める
まずはTPMを合計します。
ステップ2:MPMと比較する
- TTPM:6,919
- MPM:6,548
比較すると、6,919 > 6,548 なのでTTPMがMPMを超えています。
ステップ3:運賃を決める
MPM超過のためEMSを計算します。
6,919 ÷ 6,548 でおよそ 105.66% となります。切り上げて 110% です。
したがって、基本運賃 150,000 × 1.1 で運賃は 165,000円 となります。
正解:165,000円
試験本番でよくある2つのミス
① 比較するMPMを間違える
試験では途中地点までのMPMを資料から読み取る場合もあります。比較するのは、「出発地〜最終目的地」のMPMです。違うMPMで計算しないよう注意が必要です。
② EMS判定で切り下げてしまう
たとえば、割り算の結果が 1.0568(105.68%)だった場合。「5%ちょっとだから5%割増」と考えるのは間違いです。105%を超えているので、10%割増になります。判定表は厳密に当てはめましょう。
まとめ|マイル計算はルール化すれば得点源になる
マイル計算で覚えるべきポイントです。
- TPM = 1区間ごとの運賃計算用距離
- TTPM = TPMを合計したもの
- MPM = 許容される上限距離
- TTPMがMPM以内なら割増なし
- 超えたらEMS(5〜25%)
この流れを理解すると、航空運賃計算の基本がわかってきます。最初は難しく感じますが、ルールを覚えて過去問を繰り返せば、航空運賃の中では比較的安定して得点できる分野です。
さらに理解を深めるなら、次はHIPの学習がおすすめです。
- HIP(最高運賃チェック):今回学んだマイル計算の「後」に行う、経由地ごとの運賃チェックルール
