総合旅行業務取扱管理者試験の試験科目について解説します。
試験科目は4つにわかれています。
旅行業法及びこれに基づく命令
旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
国内旅行実務
海外旅行実務
各科目それぞれで60%以上得点できれば合格となります。
各科目の特徴を見ていきましょう。
目次
旅行業法及びこれに基づく命令
旅行業法に関する問題が出題されます。
25問100点満点です。
1問4点です。
15問以上正解で60点以上得点できれば合格です。
旅行業法とは旅行業等を営む者に登録制度を実施して、旅行業者の適正な運営・旅行者の利便を図るために作られた法律です。
旅行業務取扱管理者もこの法律に基づいて選任が必要とされています。
4つの試験科目の中では最も対策がしやすいため確実に合格したい科目です。
まずは法律の条文を理解していきましょう。
その上で過去問を中心に練習しつつ暗記を進めたいところです。
法律の条文に慣れていない方にとっては最初は難しいかもしれません。
逆に法律の勉強や、各種資格試験に挑戦したことがある方にとってはそれほど難しくないでしょう。
例年同じような問題が繰り返し出題されていますので、対策すればするほど合格点は近づいてきます。
旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
旅行業や飛行機・フェリー・貸切バス・宿泊施設に関する約款から出題されます。
約款とは簡単に言うと、サービス提供者とサービス利用者との間での取り決めのことです。
旅行業約款から 20問80点(1問4点)
運送約款及び宿泊約款から10問20点(1問2点)
合計 30問100点満点です。
60点以上得点できれば合格です。
旅行業約款
科目のメインとなる部分です。
全体として覚えるべきことが多いです。
具体的な事例にあてはめながら理解を深める必要があります。
半分以上は募集型企画旅行について出題されます。
試験日までに標準旅行業約款を自分の中で整理しておきましょう。
運送約款及び宿泊約款
出題割合としては旅行業約款よりは少ないです。
しかしながら60点確保のためには大事な部分です。
半数以上は飛行機に関する約款から出題されます。
具体的には日本航空(JAL)や全日空(ANA)の運送約款です。
出題のパターンが決まっているので過去問で解き方を身につけましょう。
普段から飛行機をよく利用する方にとってはイメージしやすく有利かもしれません。
貸切バスやフェリー、宿泊約款からも出題されますが配点はわずかです。
しかし対策はしやすいので頻出テーマをおさえましょう。
この科目全体に言えることですが、次に紹介する高難易度科目国内旅行実務と内容的に重複する部分もあります。
国内旅行実務対策の視点からも確実に理解したいところです。
国内旅行実務
国内旅行に関する様々な問題が出題されます。
国内観光地理から 20問40点(1問2点)
運賃・料金等から 12問60点(1問5点)
合計 32問100点満点です。
60点以上得点できれば合格です。
国内観光地理
日本国内の様々な地理、特に観光に関する地理が問われます。
およそ観光に関することであればどんなことでも出題されうると思ってよいでしょう。しかもかなり細かいところまで問われます。
世界遺産・観光地・一般地理・祭り・グルメなど非常に範囲が広いです。
この国内観光地理でどこまで得点できるかによって、運賃・料金で必要な得点が変わってきます。
そのためなるべく時間をかけ、高得点を狙いところではあるのですが、一方でウェイト的には運賃料金の方が重いという事実もあります。
まずは頻出分野を中心に広く浅く覚えていくのが良いでしょう。
運賃・料金等
国内の運送機関の主に運賃・料金に関する問題が出題されます。
個人的には総合旅行業務取扱管理者試験の中で難易度・重要性とも最も高い部分だと思います。
総合旅行業務取扱管理者試験の山場の一つです。
1問5点と非常に重いです。
知識・理解・計算すべてが問われます。
ここで最低も半分は正解したいところです。(6問×5点=30点)
上の計算でも国内観光地理40点満点中30点(75%)必要な計算となり、科目自体が高難易度であることがわかると思います。
令和元年度試験では、飛行機2問、宿泊1問、貸切バス1問、フェリー1問、JR7問という出題内訳でした。
この数字からわかるようにメインはJRに関する出題です。
新幹線や特急に良く乗る方、旅行や出張などで様々な場所に行かれる方、鉄道が好きな方は有利な部分があるかもしれません。
試験対策上はまずJR運賃の過去問を理解できるようになることを目指しましょう。
その上で飛行機、他の計算問題を練習していきたいところです。
難易度的には宿泊・貸切バス・フェリーが比較的簡単です。
飛行機、JRが難しいです。
ここまで見てきたように全体的に非常に難しい科目です。
60点目指して頑張りましょう。
海外旅行実務
海外旅行に関する様々な問題が出題されます。
国内旅行業務取扱管理者試験には存在しない科目です。
科目自体が総合旅行業務取扱管理者試験の目玉であり山場です。
国際航空運賃から 8問40点(1問5点)
出入国実務 から 8問40点(1問5点)
英語 から 8問40点(1問5点)
海外観光地理から 20問40点(1問2点)
海外実務 から 8問40点(1問5点)
合計 52問200点満点です。
120点以上得点できれば合格です。
この科目だけ200点満点です。
国際航空運賃
海外旅行実務で最も重要なパートです。
国際航空運賃・料金を計算します。
計算の基本ルールを覚えて過去問を繰り返す必要があるでしょう。
ぱっと見た感じはとても難しそうですが、慣れてくればそこまで大変ではありません。
計算問題といっても選択肢に計算式も含まれます。
どれが正しいのかを順番に判断していけば正解に近づくことができます。
海外旅行実務対策はまずここから始めましょう。
出入国実務
旅券(パスポート)や出入国、関税などについて問われます。
海外旅行実務の中では比較的やさしいパートです。
法令を理解する点などは旅行業法に近いです。
毎年同じような出題傾向なので対策しやすいです。
暗記をメインにして得点源にしたいところです。
英語
英語を読んで問題に答えるパートです。
観光地や交通機関をテーマにした英文が多いです。
まるで入試の英語や、英検・TOEICのような雰囲気です。
はっきりと個人差がでる科目です。
英語が得意な方にとっては楽に満点近い得点が狙えるでしょう。
一方で、英語が苦手な方にとっては海外旅行実務最大の難関になると思います。
難易度的としては、英検でいうと2級~準2級くらいでしょう。
TOEIC600点以上の方なら解きやすいと思います。
人によってとるべき戦略が変わってくるでしょう。
英語が得意な方は過去問に慣れて高得点を目指す方針で問題ないでしょう。
英語が得意でない方の中には英語パートを丸ごと捨てる選択を検討している方もいるでしょう。
確かに英語パートは全体の40点分なので、ほかのパート160点のうち
120点(正解率75%)をとれれば問題なく合格できます。
しかし難問が多い海外旅行実務の中で英語をすべて捨てる戦略はかなりリスクが高いです。
英語は後述の海外実務でも使用します。
まずは過去問に取り組みつつ、観光関連の単語を覚えてみてください。
文章はほぼ観光関連なので慣れてくれば全く意味がつかめないということは少なくなると思います。
とれる点数をとっていく戦略をおすすめします。
英語全捨ては最後の選択肢にしていただければと思います。
海外観光地理
世界の様々な地理、特に観光に関する地理が問われます。
観光に関する様々な問題が出題され、その範囲は膨大です。
都市・世界遺産・観光地・一般地理・美術館など非常に範囲が広いです。
海外旅行が好きな方、世界史が好きな方には有利かもしれません。
まずは頻出テーマを把握しましょう。
対策が重要な一方でこのテーマばかりに時間をかけるぎるのは得策ではありません。
覚えても覚えてもきりがない一方で、1問あたりの得点はわずかに2点です。
他の科目や、海外旅行実務のほかテーマとの兼ね合いを考えつつ準備していきましょう。
海外実務
時差の計算や、飛行機の乗り継ぎ・航空会社コードなど海外旅行ならではの問題が出されます。
普段あまり見ないテーマが多いので最初はとまどうかもしれません。
しかし海外旅行実務の中では難易度はそれほどでもなく、最終的には得点源にしたいパートです。
まとめ
総合旅行業務取扱管理者試験は
旅行業法・運送約款・国内観光実務・海外観光実務の4科目
各科目60%の得点で合格
4科目すべて合格すれば試験合格
最後までご覧頂きありがとうございました!